根管治療
根管治療とは
歯の中には歯髄(神経や血管)が通っている細いトンネルがあります。そのトンネルのことを『根管』といいます。神経を取ったあとや神経が死んでしまったあと、根管の中をそのままにしておくと、残ったものが腐敗して細菌も繁殖してしまいます。場合によっては痛みが出たり歯が使えなくなったりします。根管治療は歯をなるべく長期的に保存するために根管内を清掃し密閉する治療です。
根管治療は家の建設で言うと、土台作りみたいなものです。どんなに立派な家を建てても土台が悪いと家は壊れてしまいます。歯も同じで、根管治療をしっかりしておかないとどんなに良い歯をかぶせても長持ちはしません。
しかし、根管治療は時間と忍耐力がいる治療です。
根管は単純な直線のものは少なく、ほとんどの場合が湾曲していて、さらに肉眼では確認できないような枝があります。奥歯の大臼歯では根管が3~4本あります。その1本1本を清掃するので時間がどうしてもかかります。患者さんもお口をあけている時間が長くなるので体力もいります。また、神経を抜いた後や根の先のほうを清掃した後、根の先まで樹脂を充填した後には痛みを伴います。
この地道な治療を乗り越えて初めて長期的な予後が期待できるのです。
歯の神経と根管
頭から神経が分岐しあごの中に入り、それが歯の中に入っています。
神経まで虫歯がつながっていない場合は虫歯を取って詰め物をつめます。
神経までつながっている場合は神経を除去します。神経を取ったまま放置したり、神経に細菌が感染したまま放置した場合は根の中で細菌が繁殖して根の外に炎症が起こり膿がたまります。
さらに放置すると歯が使えなくなります。
神経を取った歯や、根の中で感染がおきている歯は根の中をきれいにして、
根の先までしっかり樹脂をつめます。
根管治療が必要な歯
1.虫歯が進行していて歯髄に虫歯が達している場合。
2.重度の虫歯、重度の歯周病、重度の知覚過症、外傷などで歯髄が死んでしまった場合。
3.すでに歯髄が抜かれている歯で、治療せずにそのまま放置した場合や、根管治療が不十分で根の先に病変がある場合。
根管治療の流れ
1.歯の上の部分に穴を開けます。
2.根管の中にファイルと言う器具を挿入して根管長電気測定器を用いて歯根の長 さを計測します。歯根の長さを正確に把握していないと、治療の成功率が悪くなります。
3.ファイル(やすり)やジロソニックと言う洗浄器具を使って、歯髄の残骸や汚染された象牙質を取り除き、根管の中をきれいに削って形を整えます。
4.上の部分は効率の良い器具(減速タービン)を使い円錐状にしていきます。
5.感染が強い場合は薬品を使い根管を消毒します。症状や根管の状態によっては、洗浄・消毒を何回か繰り返します。
6.症状がほぼ消失し根管内がしっかり清掃されたら、根充材を根の先までしっかり密に充填します。
7.根管治療が終わった歯は基本的にクラウンをかぶせます。
神経のある歯を生木に例えると、神経の無い歯は枯れ木と同じで非常にもろく割れやすいです。そのために前歯でも奥歯でも根管治療が終わった歯はクラウンをかぶせて歯を保護してあげる必要があります。